思ったことを書くだけ

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遠藤乾『欧州複合危機-苦悶するEU、揺れる世界-』 

欧州複合危機  苦悶するEU、揺れる世界

ちょっと雑な感はあるが、コンパクトにまとめたい。


EU(欧州連合)は、ここ数年の相次ぐ大規模テロ、中近東からの大量難民、ギリシャを発端としたユーロ危機、そしてイギリスのEU離脱とした国民投票、ユーロ圏各国での極右政党の台頭等、厳しい試練に曝されている。

EU誕生の歴史はヨーロッパの中央に位置し国力がありヨーロッパ不安定化の要因である「ドイツ」を封じ込むECSCーEECーECと連なるヨーロッパ統合の歴史であり、冷戦時の東側への対抗措置の歴史である。※「独ソ」二重の封じ込めの意味合いもあった。

このような話は「市民」レベルでは各国エリートの権力争いでしかなく関わりのないに等しいことであった。しかし、1980年代から冷戦勝利が見えて来る中、域内市場の統一化、国家のごとの采配の範疇である教育、社会分野にまでヨーロッパ次元で試みられるようになってくるとぎくしゃくし始める。冷戦が集結し、マーストリヒト条約で通貨統合が決定し国の財政にも規制がかかり、さらにお互いの予算を相互監視(財政規律を守るなど)するシステムまで成立すると「市民」レベルの期待と反感が生じるようになった。

民主的に選ばれた議員によって決まった予算までもEUに口出しされるようになり、緊縮財政を余儀なくされ中間層がやせ細ってしまう事態が起きるようになった(典型例がギリシャ)。

EU加盟国内でも同様なことが生じ、自分たちの意見が反映されない、苦しみを理解してもらえない、移民に仕事が奪われる、EUなんてまっぴらだとされた結果がイギリスのEU離脱の国民投票の結果であった。

これらの危機はEUという権力組織がアイデンティティがまちまちの状態-私は○○人だがヨーロッパ人はいないという意-で民主的プロセスや公共空間が成立してないため生じていると考えられる。大規模テロの問題もそうである。公共空間でテロリスト情報が共有されていれば防げた可能性もある。「みんなで決めた」という拠り所がない(その意識が希薄)だからである。

昨今生じている危機と対峙するためには財政統合、保安機密情報などの国家を越えた統合と権限をEUに集約させなくてはならないのだが、民主的正当性が脆弱なため進んでない。

ダニ・ロドリックは「グローバリゼーション・パラドックス」で<グローバル化=国家主権=民主主義>はトリレンマ状態にあり、同時に3つは並びえない -P255-と言う。

中国のような一党独裁国家は民主主義に気にかける必要がないのでグローバル化とは非常に相性がよい。しかし、民主主義を意識せざる得ない先進国は解決策が見いだせてない。EUで起きている現象はグローバル化で置いてきぼりにされた新興国、裕福層の間に挟まれて不安に苛まれている先進国中間層の叫びである。米国の大統領選挙結果や昨今言われる日本社会の2極化と相似であると考えられる。

今、求められるのはトリレンマを緩和する包括的構想である。(どうやるんだろう?)



5/3 二回目読了

※トレーニング:朝練コース 3周 疲れる。
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